@国立科学博物館新宿分館

講演:山田 格 (国立科学博物館 動物研究部 動物第一研究室室長)長谷川 博 (東邦大学 理学部教授 OWS会長)秋山 章男 (元東邦大学 理学部教授)高砂 淳二 (OWS理事/自然写真家)

2月26日(土)国立科学博物館新宿分館にて、「自然との共存を考える」を基調テーマに開催しました。
第一部では「野生を知る・守る」というテーマで、国立科学博物館の山田格先生とOWS長谷川博会長、第二部では「自然との対峙」というテーマで元東邦大学教授秋山章男先生とOWS高砂淳二理事の4名による講演となりました。


第一部 野生を知る・守る


山田格先生の講演 「海の哺乳類を学ぶ」

広大な海には約100種ほどの海の哺乳類が知られています。そして日本列島の周囲にはそのうち約50種が棲んでいます。
その海の哺乳類が海岸にあがってしまうこと(ストランディング:座礁)があります。
彼らが行きているならば、海に戻る手助けができるかもしれません。
死んでしまったならば、彼らの体について知識と理解を深めるために活用すべきだと考えます。
クジラやイルカの外形はサカナに似ているかもしれませんが、彼らはヒトと同じ哺乳類なのです。残念ながら我々はまだ彼らの体についてほとんど何も知りません。
彼らから学ぶべきことについて考えてみたいと思います。

長谷川博先生の講演 「アホウドリ再生計画」

羽毛を採るために乱獲され、一時、絶滅したと思われた大型海鳥アホウドリ。
その主繁殖地で、近年実施された積極的保護活動が実を結び、繁殖集団は年率7.6%で増加し、推定総数は1,650羽まで回復した。
2002年8月、その鳥島が噴火した!
大噴火による最悪の事態を回避するため、安全な小笠原諸島聟島列島に新繁殖地を形成する大計画が日米共同で始まる。いま、アホウドリの再生を展望する。


第二部 自然との対峙


秋山章男先生の講演「海を語るアーティストを目指して」

南極、干潟、砂浜、サーフゾーンをフィールドに、たくさんの生きものとつき合ってきました。
2000年3月の退職を機会に、研究を続けながら「バイオロジスとからアーティストへ」と、新しい目標を立てました。
ペンギン、ウミガメ、イルカやクジラ、渡り鳥、貝類など、絵や彫刻、クラフトなどで表現することです。
小学生なども集まるようになり、作品は200点になりました。心ゆたかな作品にするためにピアノにも挑戦しています。私の自然とのかかわり方、自然を通しての子供たちとのふれあいについて紹介します。

高砂淳二氏の講演「美しく繊細な自然を見て感じること」

海の中と陸上の2つの世界で、神々しいまでに荘厳な自然と、微妙なバランスの上で成り立っている繊細な自然の両方を見ていただきながら、自然とはどういうものなのか、人間はその中でどういう位置を占めるのか、どんな役割があるのかなどを、一緒に考えていけるようなセミナーにしたいと思っています。

●時間:13:00~17:00(12:00開場)
●参加費:一般:1,300円/OWSメンバー:1,000円
●定員:160名(先着順・要予約申込)
●懇親会:18:00〜20:30/参加費 2,500円(高校生以下1,500円)


活動報告は「事務局BLOG」をご覧ください。


講演者・プロフィール

山田 格

山田 格(国立科学博物館 動物研究部 動物第一研究室室長)

1950年生まれ。東京大学大学院理学研究科修士課程修了、医学博士。専門は海棲哺乳類学、脊椎動物比較形態学。主な著書(分担執筆)に『新潟の自然史-海から山まで』本間義治編、35-56(1992,新潟大学刊)、『国立科学博物館への招待』国立科学博物館編、脊椎動物の適応(1995,国立科学博物館)、『日本動物大百科2哺乳類Ⅱ』粕谷俊雄編、56-59(1996,平凡社)。訳書に『ストランディングフィールドガイド 海の哺乳類』山田格、天野雅男監訳(1996,海游社)など。



長谷川 博

長谷川 博(東邦大学 理学部教授 OWS会長)

1948年静岡県生まれ。京都大学卒業。1976年から伊豆諸島鳥島に生息する絶滅危惧種アホウドリの保護・繁殖研究を続け、1998年吉川英治文化賞、2000年にはエジンバラ公賞などを受賞。「風にのれ!アホウドリ」「アホウドリ愛のシンフォニー」「50羽から5000羽へ」など著書多数。



秋山 章男

秋山 章男(元東邦大学 理学部教授)

1935年生まれ。千葉県一宮市在住。2003年3月、東邦大学教授を退職後、ウミガ メ、渡り鳥の研究を継続しながら、小学生~教員まで幅広く自然観察の指導や各 地で講演を行っている。またバイオロジストからアーティストを目指し、絵画、 彫刻、クラフトなど海の生きものを素材とした創作活動に励む。



高砂 淳二

高砂 淳二(OWS理事/自然写真家)

宇都宮大学在学中にオーストラリアを放浪し、ダイビングと写真に目覚める。卒業後、東京写真専門学校で写真を学び、ダイビング専門誌専属カメラマンを経て、89年に独立。地球全体をフィールドとして独自の視点でとらえた意欲作は高い評価を得ている。写真集「life」「free」「night rainbow」など多数。



詳しくは活動報告BLOGをご覧ください。

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