国立科学博物館・OWS共済

 @国立科学博物館新宿分館

講演:Dhugal Lindsay (独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)研究員)天野 雅男 (帝京科学大学 助教授)窪寺 恒己 (国立科学博物館・動物研究部・動物第三研究室室長)

長く謎に包まれていた深海の世界、最近の研究では深海での映像が撮影可能となり、少しずつその世界が解き明かされています。
本セミナーでは、深海研究に携わる3人の研究者をお迎えし、深海に生息する不思議な生物とそれらの繋がりについて、最新の調査・研究の成果を交えてご紹介いただきました。
深海を旅する魔晄クジラがみつ世界の一端にふれられたことでしょう。

1. ドゥーグル・リンズィー氏の講演
「深海生物の研究にはカメラは欠かせない!─深海生物の素顔─」


講演要旨:
深海生物のほとんどは、水っぽく、非常に軟らかく、壊れやすい。これら深海生物の素顔を捉えようと、研究の現場では様々な撮影技術が活用されています。無人探査機や有人潜水船はもちろん、プランクトンネットに取り付けたハイビジョンカメラ、深海でカラー撮影可能な実体顕微鏡の開発により、世界初の撮影に次々と成功しています。
美しく魅力満載の深海生物、その真の姿を紹介します。

2. 天野 雅男氏の講演「マッコウクジラは深海で何をしているのか」


講演要旨:
マッコウクジラは、クジラの中でも最も深く、長く潜る種のひとつです。彼らは餌である深海に棲むイカなどを食べるために1000mを超える深海に潜っていきます。いったい彼らはどうやってイカを見つけ出し、どうやって食べているのでしょうか。
マッコウクジラに小さなデータロガーを吸盤で取り付けて行動を追った結果、彼らの深海での行動が少しずつ明らかになってきました。

3. 窪寺 恒己氏の講演「マッコウクジラが捕食する大型イカ類」


講演要旨:
捕鯨が盛んだった頃の食性研究から、マッコウクジラは我々が普段目にすることの無い深海の大型イカ類を大量に捕食していることが明らかにされた。しかし、食べられている大型イカ類に関しては、その生態や分類さえほとんど何も分かっていない。
最近、我々が進めているマッコウクジラの胃内容物解析や野外での深海カメラ調査を紹介し、マッコウクジラが捕食する深海の大型イカ類の実態に迫る。

実施要項

●日時:2007年2月17日(土) 14:00~17:40(13:30開場)
●会場:国立科学博物館新宿分館 研修研究館4階 大会議室
●参加費:一般:1,000円(学生:800円)/OWSメンバー:800円
●定員:150名(先着順・予約申込制)
●懇親会:18:00〜20:30/参加費 2,500円(高校生以下800円)


講演者・プロフィール

Dhugal Lindsay

Dhugal Lindsayドゥーグル・リンズィー(独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)研究員)

1971年オーストラリアクイーンズランド州生まれ。クイーンズランド大学理学部及び文学部在学中、慶応義塾大学に交換留学し、日本語の俳句を作句し始める。1993年東京大学大学院入学、同大水圏生物学博士号取得。現在、JAMSTEC 海洋生態・環境研究プログラム研究員として、主に有人潜水船や無人探査機等を使用し、クラゲ類を中心に深海生物の調査研究を行っている。横浜市立大学助教授、クイーンズランド大学主任講師兼任。



天野 雅男

天野 雅男(帝京科学大学 助教授)

1962年大阪府豊中市生まれ。京都大学理学部在学中、3年間山でクマを探したあげく、イルカの研究を思い立つ。同大大学院にて、ネズミイルカ科の頭骨の地理的変異を研究し、博士号取得。日本学術振興会特別研究員を経て、東京大学海洋研究所大槌臨海研究センター(岩手県)助手に就職。当地で漁獲されるイシイルカを調査。またストランディング個体の調査やデータロガーを使ったクジラ類の行動調査も始める。2006年より現職。



窪寺 恒己

窪寺 恒己(国立科学博物館・動物研究部・動物第三研究室室長)

1951年東京都中野生まれ。北海道大学水産学博士号取得後、米国オレゴン州立大学研究助手を経て、国立科学博物館研究官に就任。主に海産無脊椎動物(頭足類、棘皮動物、毛顎動物、動物プランクトンなど)の調査研究、標本収集・管理、教育普及活動を行う。著書に「日本近海産貝類図鑑:頭足類」など多数。2005年、世界で初めて生きているダイオウイカの撮影に成功し、英国学術誌Proceedings of the Royal Society Bから発表、世界中の注目を集める。



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