深刻さを増す海洋プラスチックごみ
川や海でなにげなく捨てられたごみ、不法に投棄された事業由来ごみ、台風や水害で海に流出したごみ、廃棄された漁具や漁網、沈没したタンカーから漏れ出した重油など、海に流出したさまざまなプラスチックごみは、紫外線や波浪によって小片化、微細化しながらも半永久的に海洋環境に留まります。
それらのプラスチックごみは、私たち人間の知らないところで日々海洋生物に絡まって傷つけたり、餌と間違えて食べられたりして、海洋生物に大きな被害をもたらしています。
また、プラスチック類は海水中の有害化学物質を吸着する性質があります。プランクトンや魚が微細化したマイクロプラスチックを餌と間違えて捕食することから、それらの有害物質は食物連鎖によりさらに生物濃縮されます。
私たちが食べる魚介類からもすでに微細プラスチックが検出される事態が起こっており、人体への影響についても深刻さを深めています。
くちばしからテグスをぶら下げた若いアホウドリ
釣り針が食道に引っかかっていると思われる。
コアホウドリの死骸とプラスチック
エサと間違えて飲み込んだごみを親鳥に与えられたことにより餓死する雛鳥も多い
(写真左)コアホウドリのヒナの死骸とプラスチック片など。(ミッドウェー/高砂淳二)
(写真中央)雛鳥にエサを与えるコアホウドリ。(ミッドウェー/OWS事務局)
(写真右)コアホウドリのヒナの死骸から出てきた大量の100円ライター(ミッドウェー/OWS事務局)
深海魚ミズウオの胃から出てきた消化されないプラスチックごみ
(写真:東海大学・久保田正教授)
深刻!沈んだ漁網やかごによる「幽霊漁業」~ゴーストフィッシング
海上で投棄されたり台風などで流出した漁具や漁網は、ごみとなっても漁獲機能を残しているため、魚やエビ、タコなどが、その中に入り込み、損傷を受けたり死亡したりします。タコに至っては水揚げ量に匹敵する規模の犠牲があるとの推定もあり、世界的な注目を集めています。
逸失漁具による水中生物の損傷や死亡(写真:鹿児島大学・松岡達郎教授)
波や紫外線により微細化するプラスチック~マイクロプラスチック
OWSでは、海洋ごみプロジェクトの推進により、海洋プラスチックごみ問題の現状とその削減に向けた啓発活動を推進しています。
海洋プラスチックごみは太平洋ごみ集積帯のみならず、日本の沿岸にも東アジアから流出したプラスチックごみが大量に漂着します。
海洋プラスチックごみ問題は、一国や一地域だけで解決できる問題ではなく、国際的な連携や協力が欠かせない喫緊の課題です。