■第68回海のトークセッション終了
7月25日、第68回海のトークセッション「蜃気楼をつかむ:絶滅危惧種ハマグリの生態」が終了しました。
セミナー委員長の樋川さんからのレポートです。
セミナー委員の樋川さんのリポート
今回は、私たちに身近でありながら、意外に知られていないハマグリの生態について中村泰男先生に講演いただきました。
まず、日本でみられるハマグリ、シナハマグリ、チョウセンハマグリの3種の分類について、次に、これまでの実験からハマグリは悪環境にも強いということ、最後は、ハマグリが発射する「ネバ」についての話でした。
東京湾のハマグリは、1960年代初めから数が激減し、2012年には絶滅危惧種(2類)に指定されました。先生のチームは、その原因研究のため、悪環境の大井人工潟で実験を行ったそうです。
その結果、アサリやシオフキに比べ、悪環境に強いことが分かったそうですが、にもかかわらず、何故東京湾でハマグリ激減しているのか?が、現在の研究課題とのこと。
ハマグリの産卵時期である8~9月初旬は、1年で水質が最も悪化する時期であるため、貧酸素による産卵阻害、浮遊幼生の死滅が原因ではないかと推測されているそうです。
ネバとは、その名の通りハマグリが出すネバネバしたモノ。
悪環境から逃げ出すために、このネバを広げ、潮の流れを利用して移動すると考えられていたそうですが、調べてみると、悪環境でなくても出していることが分かり、現在は、このネバを使って干潟全般に生息域を広げ、環境が激変した時にも生き残れるようにしているのではと考え、実証する研究に取り組んでいるそうです。
ハマグリのことを「ハマハマ」と呼ぶ先生の話は、ハマグリに対する愛情と人柄が伝わり楽しいトークセッションとなりました。