活動BLOG - 海のトークセッション

第64回海のトークセッション「ワレカラたちの不思議な世界」終了

第64回海のトークセッション「ワレカラたちの不思議な世界」終了

セミナー委員会の藤堂喜民さんのレポート


ゲストスピーカーは、東北大学大学院農学研究科の准教授、青木優和さん。海中には虫のようにも見える小さな甲殻類がたくさんいる話から始まりました。ワレカラ、ネクイムシ、シャクトリドロノミ、タルマワシ、ウミクワガタ、ドロクダムシなど、それぞれに名前はあっても、なかなか気付いてもらえない小さな甲殻類たち。青木さんはこれらの生物をとっても愛してやまない人物です。


前日の台風の影響が少し残っていましたが なんのその、会場は満席でした。



フクロエビ類の特徴としては、親子が一緒にいることと、同じ種類のほかの個体と一緒にいることの2点です。
この特徴から、彼らには独自の社会性が存在するのではと青木さんは考えられました。
ワレカラには子守行動のような動きが見られ、生まれた幼体が母親につかまっていたり、母親の周辺から離れなかったりするのです。(つかまらせ型、はべらせ型と呼称している)
他にコンブネクイムシと呼ばれるコンブの中に住む甲殻類は、一夫一妻のつがいで生息。このつがいが子供を産み、やや大きくなった子供が、新たに生まれた子供の世話をするような行動を見せるそうです。



またアミ類では、母親の育房から落下してしまう子供を他のメスが海底から拾い上げて自分の育棒内で育てていく、養子とり行動ともとれる不思議な行動も見られるそうです。
繁殖前のオスメスの行動としては、交尾前ガードを紹介されました。彼らの繁殖期というのは脱皮と同時のことが多く、タイミングを合わせるのが大変難しいのです。そこでオスはメスを折りたたんで持ち運んだり、複数のメスを体にくっつけて歩くなど、興味深い生態の数々の動画も紹介されました。現在はこうした研究のほかに、東日本大震災後の津波と地盤沈下が、底性生物に与えた影響を研究するため、定期的に潜水調査を実施されています。


一番印象深いのは青木さんが何よりも、フクロエビ類が大好きなことです。
大きな身振り手振りで、黒板には緻密な絵を描き、「かわいいでしょ」を連発しながら満面の笑みをたたえている様子は、こちらまで楽しくなってくるトークセッションとなりました。



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