■第42回トークセッション終了
2008年6月4日、沖ノ島サンゴを見守る会代表の三瓶雅延さんをお招きし、海のトークセッション国際サンゴ礁年特別企画シリーズ「20年、東京湾のサンゴを見守って」を開催しました。
イベント委員会の土井良介さんから、感想を交えてご報告します。
この日は、20年も前から東京湾のサンゴを見続けてきた三瓶雅延さんのお話。会社勤めの傍ら独自に海を見てきたというだけあり、サンゴの生態や解説を学ぶ講義形式ではなく、まるで“三瓶さんのライフワークと情熱”に参加させてもらったような、アッという間の時間でした。
沖ノ島をはじめ東京湾には、エダミドリイシ・トゲイボサンゴなど30種類以上が同定されているそうです。サンゴの北限域にあたる東京湾のサンゴは、ひっそりと地道に生き続けているような勝手なイメージを持っていたのですが、群落や産卵に関する実際のお話を聞き、あまりのスケールの大きさと生命の強さに驚きました。
三瓶さんから聞くサンゴの産卵の様子は、とても生き生きとしていて感動的でした。その他にも、浜辺の間近で水深5mの浅さで見ることができること、サンゴの産卵とあわせてサザエやカニ、イバラカンザシも同時に産卵していたこと、潮の満ち引きで海上に現れるサンゴのこと、ソラスズメダイやクマノミ、ツノダシのような熱帯の魚も生息していることなどを教えていただきました。
中でも印象的な三瓶さんらしい表現として、
「初めてサンゴを見たとき、あまりの奇麗さに感動しました。輝いて見えました。」
「アメリカのハリケーンの真似で、サンゴに名前を付けています。(しかも学生時代の同級の女子の名前だそうです!)」
「人間が優しくさえすれば、東京湾は自然と綺麗になります。」
タンクとスーツが無い素潜りの観察から始まって、研究者、自治体、地元の漁業組合との関係を維持しながら20年も活動され、観察会やNPOを通じて“海岸浴(シーサイドセラピー)”を提唱されている三瓶さんは、「館山に遊びに来てください。観察を通して海を見てほしい。」とおっしゃっていました。三瓶さんのこれまでの活動が、東京湾のサンゴ研究に多大に貢献していることを知りました。
話は尽きず、ウミホタルの観察会、漁業組合との関係の大事さ、サンゴの着床、イルカの骨、化石、ホタルイカなど、もっと詳しく聞きたいことばかりの一時間半でした。
海が育んだ多くの生命の話を聞き、今すぐにでも館山に行きたくなりました。