■第33回海のトークセッション報告
イベント委員の和栗さんより2007年7月18日(水)に開催された第33回海のトークセッション報告をお届けします。
“未来に残したい海”海のトークセッションスペシャルエディション。
第2回は、越智隆治さんと倉沢栄一さんです。
まずは越智さんのスライドトークから!
スペシャルゲストの海友君(越智さんの息子さん)をひざに抱いて、アットホームな空気の中、2007年のエルニーニョの影響を、タイ・スミラン・パラオ・ペリリュー・バハマの3つの海からお話してくれました。タイ・スミランでは、エルニーニョの年はジンベイザメ大当たりの年になるようで、今年も遭遇確率がぐっと上がったようです。その代わり、赤潮で東京湾より透明度が悪くなり、普通に見られたレオパードシャークは少なくなってしまったそうです。またタイでは、初の確認となったマツカサウオが出現し、パラオ・ペリリューでは、激流で有名なダイブ・ポイント「コーナーエクスプレス」が今年はゆるやかな流れになり、いつもは撮影困難なロウニンアジの群れも楽々撮影できたそう。バハマではハリケーン率が非常に高くなっているということです。途中、海友君がパパにお菓子をあげるという微笑ましい光景もあり、会場温かい空気に包まれていました。
次に、20年間襟裳のゼニガタアザラシを紹介し続けている倉沢さんが、今回は北方四島のゼニガタアザラシの元気な姿を、映像でご紹介くださいました。コンブの森に人影はなく、あやしいぐらい静寂な海…。地形豊かな択捉島にはゴマフ&ゼニガタアザラシが2000頭生息しているそうです。ここは保護区域で、人が来ることはめったにない海。人を知らないアザラシたちは、遠目に様子をうかがっている感じ。こっそり見ては逃げる。人が怖くて水面に顔を出し(顔を背ける仕種らしい)またのぞく。くり返すうちだんだん馴れてくる。馴れすぎてケンカも始める。グルグルまわる。カメラの上に乗ってくる。…大さわぎの海に変身!会場に温かい笑いが絶えない中、ラッコがアザラシを必要に追いかけるおまけ映像も、また生きもの好きの心がくすぐられました。
このあと、お二人の対談があり、写真家になったきっかけや…OWSに入ったきっかけ、撮影時環境に配慮している事など、お話してくれました。倉沢さんも越智さんも、いつもお邪魔しますという気持ちで海に入るそうです。「撮影したいが、海にとって人間は迷惑なのもわかっている。矛盾を感じるが現場に行き伝えることが仕事かなと思っている。みなさんには、楽しみたい気持ちを満足させるだけでなく、自然に配慮してもいらいたい。大切さを感じてもらいたい。」という越智さんの言葉が、心に残りました。
また、倉沢さんは、諫早湾でムツゴロウが求愛ジャンプをしている写真(今回の写真展で出展)を撮った翌年に、堤防が閉められたことを話してくださいました。「娘や息子に、昔はこうだったんだよ、という話をしたくない。」と語っていた倉沢さんの言葉に、胸の奥がチクチクしました。
スペシャルゲストの海友君が、ひかえめ海友君から海獣海友君に変身するぐらいアットホームな感じの1時間30分。倉沢さんと越智さんには感謝の気持ちをこめて、これからもよろしくお願いします。