アホウドリの産卵から巣立ちまで

1998年~2002年までの期間、OWSはミッドウェー環礁でさまざまな活動を展開しました。 その1つに「ミッドウェーにアホウドリのコロニーを!」というアホウドリ繁殖地をミッドウェーに広げようという活動がありました。

背景には、当時(2001年冬)4、8、13、14、19歳の5羽の伊豆諸島・鳥島生まれのアホウドリたちが、ミッドウェーを訪れるようになっていたことがあります。 それらのアホウドリたちをデコイと音声を使って一か所に誘引し、つがい化の促進を図るものでした。(>>詳細リンク

 

2011年1月14日ヒナ誕生。
今シーズン、あれから10年の時を経て、初めて一羽のヒナが誕生しました。 親鳥は足輪(赤051)から1987年に鳥島でバンディングされた雄24才で1999年頃からミッドウェーに飛来していた鳥でした。 雌は2003年に鳥島にてバンディングされた8歳の若鳥で11月16日、産卵が確認されました。
1月11日低気圧がミッドウェー環礁を襲い、その余波で荒れ狂う荒天の日に、ヒナは孵化しました。

2月11日、津波の1月前、またしてもミッドウェーを暴風雨が襲いました。生まれて1月足らずのヒナは巣から25mほど流されましたが生き残り、保護官に巣のあった場所に戻されました。この暴風雨では、コアホウドリやクロアシアホウドリのヒナも流され、多くが犠牲になりました。

 

ヒナのバンディングへ同行。
6月8日早朝、ヒナのバンディング(足管付け)のため、FWSの研究者ジョン・クラビッターさんたちに同行してイースタン島のアホウドリの営巣地に出発しました。 厳格な観察ルールのため、私たちはヒナの50メートルほど手前にあるナウパカの木陰から全員興奮の面持ちでヒナを観察しました。

たくましく成長したアホウドリのヒナは、周囲のコアホウドリの親鳥より一回り大きく超然とした様子で佇んでいました。 その後、ジョンさんたちが忍び足で左右から近づき、タモ網で捕獲してバンディングする様子を観察しました。

このアホウドリバンディングのニュースは、6月10日にFWSから公式にニュースリリースされ、OWSが10年前(2000年9月)に行ったデコイ設置への協力についても紹介されました。 その後、巣立ちは6月17日との正式な発表があり、絶妙のタイミングでの訪問だったことがわかりました。 デコイ設置から丸10年の時を経て、産卵・孵化が実現したことは驚きですが、さらに、2回 暴風雨を生き残り、津波で35メートルも流されながら、なお生き抜いたヒナの生命力にはただ ただ驚きです。

ミッドウェー環礁が繁殖地として確立していくにはこれからも、さまざまな困難が予測されますが、まずは今年巣立ったヒナが元気に島に戻ることを期待したいものです。

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