第3回報告 アホウドリ繁殖状況

第107回(2011年12月)鳥島アホウドリ調査報告
鳥島アホウドリ集団は超順調に増加し、繁殖つがい数は512組に

■テキスト&写真:長谷川博(OWS会長・東邦大学理学部)

2011年11月27日から12月15日に、伊豆諸島鳥島で第107回アホウドリ繁殖状況調査を行ないました。その結果を下表にまとめました。

【表1】鳥島における2011年12月期のアホウドリのセンサス結果
繁殖つがい数(=総産卵数)とカウント数、若齢個体の割合

 
従来コロニー
新コロニー
鳥島全体
燕崎斜面
燕崎崖上
北西斜面
繁殖つがい数(組)
403
7
102
512
昨年比
+7
+1
+23
+31
増減率
+1.8%
+16.7%
+29.1%
+6.4%
平均カウント数(羽)
601.6
10.2
193.3
818.4
昨年比
+23.9
-3.1
+29.7
+47.5
増減率
+4.1%
-23.3%
+18.2%
+6.2%
若齢個体の割合
52.0%
65.1%
86.4%
58.2%
昨年比
+3.1
-19.7
-0.4
-2.0


▲北西斜面の新コロニーの中心部。若い個体が大部分を占めている
(2011年12月5日)


▲燕崎斜面の従来コロニーの西地区中心部
手前は2010年2月に泥流が流れた跡。羽色が白い成鳥の割合が高い
(2011年12月5日)

繁殖つがい数とカウント数

鳥島全体では、少なくとも512組のつがいが産卵し、昨シーズンからの増加は31組(6.4%)でした。とくに、デコイと音声装置を利用して形成した北西斜面の新コロニーでは102組が産卵し、昨年より23組(29%)も増えました。燕崎斜面の従来コロニーでは、つがい数は403組でしたが、昨年からの増加はわずか7組(1.8%)でした。燕崎崖上の新コロニーでは、2008年以降、6、7、6、7組と、ただ1組の増減がみられただけです。

鳥島全体で繁殖つがい数は、ついに500組を超えました。1979年11月にちょうど50組だったので、32年間を要して10倍を越えたことになります。北西斜面では、1992-93年繁殖期にデコイ作戦と音声装置が設置され、若い個体が誘引され、初めて着陸しました。それから19年で100組を超えました。2004-05年期の新コロニー確立からだと、たった7年です。従来コロニーのつがい数が100組を超えたのは1990年で、再発見から40年後でした。それらと比較すると、新コロニーの急成長ぶりに驚きます。

それぞれの区域でカウントすることができた平均の個体数は、従来コロニーでは601.6羽で、昨年より23.9羽(4.1%)増加しました。それに対して、北西斜面では193.3羽で、増加数は29.7羽(18.2%)でした。

カウントした個体のうち約10歳未満の若齢個体が占める割合は、従来コロニーで52.0%、北西斜面の新コロニーでは86.4%でした。新コロニーでは若い鳥が大部分を占めています。

燕崎斜面の従来コロニーでは若齢個体の占める割合が低いので、今後、つがい数の増加率はしだいに低くなるにちがいありません。すでに飽和状態に近づいている従来コロニーのつがい数の上限はおよそ500組だと推測されます。したがって、ここで生まれた若い鳥は、混雑した従来コロニーを避けて、どんどん北西斜面の新コロニーに移入して定着し、そこで繁殖を開始するはずです。新コロニーのつがい数は今後もきわめて急速に増加するでしょう。しかし、燕崎崖上の平坦な場所にある新コロニーは、植生が乏しくて営巣適地が少ないため、つがいの数はこれからも10組以下にとどまるでしょう。


▲卵を抱いている成鳥(2011年12月6日)

巣立ちひな数と総個体数、今後の成長の予想

北西斜面の新コロニーが確立した2004年から2010年までの最近7年間の繁殖成功率をコロニー間で比較すると、燕崎斜面の従来コロニーで平均65.2%、燕崎崖上の新コロニーで51.9%、北西斜面の新コロニーで78.4%、全体では65.6%でした。これらの数字にもとづいて、2012年5月の巣立ちひな数を予想すると、燕崎斜面から260〜265羽、北西斜面から80羽、燕崎崖上から3〜4羽で、合計340〜350羽となります。そして、繁殖期後の鳥島集団の総個体数は、推定で2,990〜3,000羽となるでしょう。

さらに2012-13年期には、鳥島全体で550〜560組、つぎの2013-14年期には約600組、2014-15年期に約650組、さらに2015-16年期に約700組が産卵すると予想されます。

今後、北西斜面で営巣するつがいの数が増すにつれて、鳥島全体としての繁殖成功率は、これまでの約66%から次第に改善されて70%に近づくでしょう。それにつれて巣立ちひな数も増加し、2015-16年期には約500羽となり、鳥島集団の総個体数はおよそ4,000羽になります。そして、それから3年後の2018-19年期には、5,000羽に到達するでしょう。さらに、2020年には従来コロニーで約500組、新コロニーで約500組、鳥島全体で合計1,000組のつがいが繁殖し、総個体数は約6,000羽になるにちがいありません。 


▲コロニー上空を飛翔する成鳥(2011年12月6日)

長谷川博
OWS会長
東邦大学名誉教授
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