太平洋を渡った津波

東日本大地震で発生した津波は、4000キロ離れた北西ハワイ諸島のクレ環礁、ミッドウェー環礁、レイサン島などの島々に到達し、深刻な被害をもたらしました。ミッドウェー環礁はコアホウドリやクロアシアホウドリそして、地面に巣穴を掘って産卵する2種のミズナギドリの繁殖時期にあたり、島中に新しい命が満ちあふれているときでした。

現地時間の2011年3月10日深夜、高さ1.5メートルにおよぶ津波は、4度にわたって島々に押し寄せ、巣と鳥たちを押し流し、生まれて2ヵ月ばかりのヒナ11万羽と逃げ遅れて波にのまれた親鳥2千羽がその犠牲となってしまいました。

保護区の職員らは、懸命に泥やがれきに埋まって動けなくなった鳥たち約300羽を救出し、島の内部まで打ち上げられたウミガメを海に帰しました。

アホウドリの仲間は、地面に小さな盛り土をして巣をつくります。島は平らなうえ防波堤もないので、海岸近くに営巣していた鳥たちはひとたまりもなかったに違いありません。

FWSのジョン・クラビッター氏によると、この津波と今年に入って同環礁を直撃した暴風雨の影響により、今年孵化したアホウドリの仲間のヒナの22%が犠牲になったとのことです。

津波が届かなかった場所も残り、全滅を避けることができたのは幸いなことでした。

60歳を超す高齢で子育てをしていた有名なコアホウドリの「ウィズダム」は当初、行方不明とされていましたが数日後に無事が確認されました。

他にも、地面に穴を掘って巣をつくるミズナギドリの仲間も大きな被害を受けたと考えられていますが、詳しいことはわかっていません。

 

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